その夜、男は重々しい酩酊にくるまるように、下北沢にある「ぷあかう」という飲み屋のカウンターの端でうつむいていた。
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正直、「Hello」という歌をこさえた事も忘れていた。
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東名高速道路をバスが走っている。
夕焼けに空を真っ赤に燃えつくした後、、やがて完全に、空が陽の光を西の彼方に吸い込んでしまうその短い時間、浜松から東京に帰るバスの車中で、そのゆっくりでいて瞬く空の変化を、窓というスクリーンを通して鑑賞しながら、曲を作るのが好きだった。
「GOOD BYE GIRL」、「FIRE」。あの空間に身をあずけた時に頭に浮かんだ曲だ。
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はじめに
私は今、曲を完成させようとしている。去年の暮あたりにテレコに録音した「17」という歌だ。
土台だけは出来上がっていたのだが、今年のワンマンやらなんやらで忙しく、ずっと放置したままだった。
そして先週のFLASHCUBESの来日ライブも無事終わり、ようやくまた取り掛かれるところだ。
あとは少し歌詞を修正して、メンバーに聴かせるだけ。
しかし、言うまでもないが、バンドの曲はこれで完成ではない。メンバーに聴かせて、各々がアレンジを考えめぐらせ、その後何回も繰り返し合わせて、不快な個所は改善して、そのあと「バシッ!!」と合わせて、メンバー4人の快楽に満たすレベルまで到達させてやっと完成だ。
もし、ワンマンの準備期間にかぶらなくても、コークスの場合、曲を完成させるのに2ヶ月はかける訳です。
毎日スタジオに入れるわけじゃないしね。
それくらい曲を完成させた状態で世に出す業は、労力と時間がかかるのです。
私の周りのバンドもみんな、当然、仕事の合間の休憩やら休日の合間を縫ってやってるわけで、忙しいのはみんな一緒。その慌ただしさから生みだしているのだ。
2012年、今年の3月、私達THE COKESのトリビュートアルバムが世に出た。
17アーティスト参加でどれも心底すばらしい出来だと思う。
このトリビュートアルバム、実は参加の依頼を打診したのは、ほとんどのバンドが締め切りまでに2ヶ月切った状態からであった。(今考えたらかなり無謀w)
そんなハードな状況から、どのバンドもあんなに素晴らしいモノを創造するのだから、同業者としては、脅威を抱く嫉妬だ。
あるバンドからはオリジナルへの純真な愛情を感じ、またあるバンドからは「俺達はオリジナルに負けない!」という強い自分のバンドの誇りを感じたり、そしてあるグループからは長年付き合ってきたものだけが出来るオリジナルの回答だったり。そしてあるアーティストからはオリジナルの再構築だったり。
このトリビュートアルバムを特別な感情と視点で愛聴出来るのは、まぎれもなく自分であることから、このコークス トリビュートに参加していただいたバンド、アーティストの事を、出会いのエピソードや各バンドへの感想を織り交ぜ、これから書き綴る次第である。
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とうとう今週金曜日から浜松を皮切りに、西は京都、北は北海道、そして東京へとFLASHCUBESが再びやって来る。
あれから10年経つのか....。いまだにあの興奮の一夜を忘れない。
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